「介護を理由に退職する従業員が増えている」「貴重な人材を介護離職させずにサポートするにはどうしたらいいのか?」などとお困りではありませんか?
近年少子高齢化が進むにつれて、介護を必要とする人が増えています。
それに伴い、家族の介護が必要になり、やむを得ず退職を選択する人も増えています。
介護を理由に退職することを「介護離職」といいますが、従業員を雇用する企業側にとってもこれは大きな問題です。
そこでこの記事では、
・介護離職とは
・介護離職が発生する3つの要因
・介護離職を防ぐ6つのポイント
についてわかりやすくご説明します。
この記事を読めば、介護離職を防ぐために企業としてできる取り組みが多くあることをご理解いただけると思います。
また、株式会社SOYOKAZEでは、仕事と介護の両立で活躍し続けられる支援を行っておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。
介護のプロフェッショナルです
1. 介護離職とは、介護を理由に「やむを得ず」退職すること
介護離職とは、家族や親族の介護が必要になり仕事との両立が難しくなった結果、退職することをいいます。しかし、退職した人の多くが、実は「やむを得ず」退職を選択しているということをご存知でしょうか?
家族の介護や看護を理由とした離職者数は1年間で約10万人程度といわれています。(※出典1)
しかし、「介護のことについて上司や同僚に話したり、相談できる雰囲気が職場にあると思うか」というアンケートでは、4~5割程度は「あまりそう思わない」「そう思わない」と回答しています。(※出典2)
このように、介護や看護による離職者数が毎年一定数あるにも関わらず、職場への相談ができずに退職していくケースも多いという現状があるようです。
介護離職をする従業員は介護だけを理由に退職を選択しているのではなく、職場環境も離職の理由になり「やむを得ず」退職を選択している人が多いということがわかります。
表面化していない「隠れ介護者」の存在がある

介護をしている人の中には、「隠れ介護者」という人たちもいます。
隠れ介護者とは、家族の介護を担いながらもそのことを職場で明かさず、両立の困難さを抱えている従業員のことを指します。彼らは周囲に理解されにくい立場にあり、職場での支援も受けられないまま、静かに離職への道を歩んでいくことが少なくありません。
職場側としても、介護者であるという情報がオープンになっていないため、サポートしたくてもできずより介護離職者が増えていく状況が発生してしまうのです。
2. 介護離職が発生する3つの要因
職場の理解不足や相談できない雰囲気が介護離職を考える要因となり得ると前述しましたが、介護離職が発生する要因について、さらにこまかく見ていきましょう。
2-1.介護はある日突然やってくる

家族の状況が急に変化し、突然介護が必要になるケースが多々あります。一晩で生活環境が一変することも多く、そうなると従業員は相談相手を見つけることもできないまま、早急な退職を選択せざるを得ない状況となります。
2-2.企業内での介護に関する支援制度の活用が十分ではない

フレックスタイム制度や在宅勤務制度など制度はあっても、実際に活用できる環境が整っていない場合があります。また上司や同僚の理解が得られず、利用することで評価に影響するのではないかという不安があることで、結果的に職場を早急に去る決断をすることになります。
2-3.介護に関する知識や情報不足

介護は突然はじまるケースが多いため、多くの従業員は介識や情報が不足しています。どのような公的支援が受けられるのか、どこに相談すれば良いのかわからないまま、問題を抱え込んでしまうケースも少なくありません。
3. 介護離職を防ぐための6つのポイント
介護離職は個人の問題として捉えられがちですが、企業側が積極的に取り組むべき課題でもあります。
介護の初期段階で適切な情報提供や支援があれば、離職を回避できる可能性も高まります。それでは、介護離職を防ぐ企業側の取り組みについて、ポイントをみていきましょう。
3-1.職場での理解を深める

介護をする従業員に対しての理解を深めるため、
・定期的な研修やセミナー
・「介護と仕事の両立支援ハンドブック」の作成
などを実施して、介護に関する知識を深める機会を設けることは有用です。
特に管理職向けの研修は効果的で、部下の介護状況に気づくためのサインや、適切な対応方法を学ぶことは重要です。
ほかにも、外部講師を招いて介護経験者の体験談を聞く機会を設けたり、若手社員に対しても将来の親の介護に備えた知識習得の機会を提供することで、会社全体の介護への理解が深まります。
こうした取り組みを継続することが、介護者を孤立させない土壌形成に役立ちます。
3-2.介護者向けの情報提供

介護者が地域で利用できるサービスや制度についての情報提供を行うのも効果的です。
具体的には、市町村が運営する介護サービスや福祉制度のガイドラインを社内で配布するなど、周知徹底を図ります。
さらに、介護の専門家による個別相談会を定期的に開催するのもよい取り組みです。
従業員は自分の具体的な状況に合わせたアドバイスを得ることができ、早期から適切な準備や対策を講じることが可能になります。
3-3.フレキシブルな勤務体制の導入

フレックスタイム制度やテレワークを導入することも有効です。
忙しい介護者が仕事と家庭のバランスを取りやすくなります。特に介護は予定通りに進まないことも多く、突発的な対応が必要になるケースもあります。そのため、時間や場所に縛られない柔軟な働き方が非常に重要です。
たとえば、
・介護中の社員はコアタイムなしで勤務時間を自由に設定できるようにする
・半日単位、時間単位の有給休暇取得を認める
などの勤務体制を導入することで、介護の状況に応じて働き方の柔軟性を高めることができます。
3-4.メンタルヘルスのサポート

介護者は身体的な負担に加え、精神的なストレスも抱えがちです。
家族の健康状態が悪化する不安、仕事との両立による時間的な制約、経済的負担など、様々なストレス要因があります。
このような状況が続くと、うつ病などの精神疾患を発症するリスクも高まります。
対策としては、専門カウンセラーによるメンタルヘルス支援を定期的に提供することにより、介護者が自らの状況を話せる環境を提供するといったことがあげられます。
これにより、介護者の精神的な負担を軽減させることができます。
また、介護者向けのストレス管理研修を開催し、セルフケアの方法や限界を感じた時の対処法を学ぶ機会を提供することも効果的です。
「無理をしない」「完璧を求めない」という考え方を伝えることで、介護者自身が燃え尽きてしまうことを防ぎます。
3-5.社内コミュニケーションの活性化

社内でのコミュニケーションを活性化させることで、隠れ介護者が自分の状況を打ち明けやすくなります。
特に上司と部下の1on1ミーティングは重要で、定期的に生活面の課題について話し合う機会を設けることで、介護の問題も自然と共有しやすくなります。
また定期的なフィードバックの場やグループミーティングを設けるのもよいでしょう。
チーム全体が各メンバーの状況を理解し、サポートし合える文化をつくることが重要です。
「困ったときはお互い様」の精神で助け合える職場環境があれば、介護者は孤立感を感じることなく働き続けられ、結果として離職を防ぐことにつながります。
3-6.介護休暇制度の整備

具体的な制度内容や利用方法を明確にし、従業員が気軽に利用できる環境を整備しましょう。
介護休業とは「労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業」のことです。(※出典3)
介護休業は対象家族1人につき3回まで、通算93日間取得することが可能です。
勘違いされがちですが、介護休業は介護そのものをするために取得するのではなく、介護体制を整えるために取得するものです。休業期間中に仕事と介護を両立できる体制を整えることがポイントです。この点を正しく理解し、従業員に伝えることが重要です。
なお、利用手続きの簡素化は重要で、急な事態にも対応できるよう、電話やメールでの申請を認めるなど、柔軟な運用を検討しましょう。
4. まとめ
いかがでしたでしょうか?
介護離職を防ぐためには、企業全体での取り組みと理解が不可欠です。
従業員が「この会社なら介護をしながら働き続けられる」と感じる職場環境を整えることは、企業の持続可能な成長につながっていきます。
介護の問題を真剣に受け止め、企業全体での対策に取り組んでいきましょう。
※株式会社SOYOKAZEでは、仕事と介護の両立で活躍し続けられる支援を行っております。詳しくはこちらをご覧ください。
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